Nに依る余り役立つとも思えぬ書籍紹介
.....【嘔吐】
...............ジャン・ポール・サルトル/白井浩司訳/人文書院
.......
...............此れは哲学と云う名の芸術だろうか?
...............JEAN PAUL SARTRE【LA NAUSE】
ちなみに手元に在るのは大昔 黒鳳蝶が本屋…多分江古田或は桜台?
…にて購入したモノで昭和49年重版とある
しかし懐かしいなあ…ああ本じゃなくて…江古田の事ですが
当時の江古田は喫茶店も多く本屋もそこそこ在った
珈琲は美味くないんだが…バラードって喫茶店が好きだった
薄暗い地下の喫茶店 壁も石を積んだ様な雰囲気の在る処だった
喫茶店と本屋の数と質で其の街の文化度が解る…なんて昔は言ってたっけ
さてと…
此のサルトルの【嘔吐】はカミュの【異邦人】と並んでお気に入りの作品
とは云え購入した当時は正に嘔吐感で…数ページ読んで先に進めなかった
当時はとても感受性の強いガキだったので…キット其のせいでしょう
其の場合の嘔吐感って云うのは作品中の嘔吐感とは全く別物でして
存在に対する疑心とか不安感等と云ったものとも違って
単純に其処に窺い知れる【途方も無い孤独感】に拠るものでした
まともに読んだのは それから10年以上経ってからですか
歳を喰って大分神経が鈍くなったので漸く其の時読めたって事かな
存在や社会 日常に対する疑心や不信…此れ等に対する関心の方向は
カミュの【異邦人】とも共通する処が在る様にも思えますが対処の方法論は
カミュとサルトルでは決定的に違っています
まあ 個人的にはムルソーの生き方に共鳴し又しっくりとくる訳なのですが
では 何故此の一冊も黒鳳蝶にとって重要なのかと云うと
其の答えは…やはり初めに此の本を手に取った時に感じた あの
【途方も無い孤独感】に在る様です
其れは正にサルトル自身のモノであるのは明らかです
そしてロカンタン同様サルトルも狂わなかった
黒鳳蝶には狂っても不思議ではない程深遠な境地…【重度】に思えます
恐るべき精神力に拠って完成されたものであろうと想像します
もう何十年も経つと云うのに
そんな本には今迄お目にかかった事がありません
勿論 構成や文体の美しさ…そしてカミュの異邦人同様
其の哲学的命題は見事に芸術的領域迄昇華されているのです
多分其れには白井浩司の訳も貢献している事でしょう
そして空気感だけで此の長編は成立させられている訳ではありません
延々と答えを模索して行きます
公園でのマロニエの木の場面等…仏陀の悟りをイメージさせます
後半部分に於いては今となっては正直少々時代を感じさせる部分もありますが
まあ時代を反映しているとも言い換えられるのかもしれません
あと 此れは個人的な事ですがアンガジェ等は興味の外です
結局 カミュの【異邦人】とは違って…
彼れや此れや抜きにしても やはり此の小説は黒鳳蝶にとって
【途方も無い孤独感】だけで充分な作品となっています
.......
...............上記UP 2011XXXX横浜にて…